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イントロダクション

本研究室の沿革

本領域の前身である電気工学第一講座は1929(昭和4)年、大阪大学工学部の前身である大阪工業大学創設時より設置され初期の一時代を除き一貫して電力工学の講座と研究を中心としてきた。当初、大竹太郎教授、青柳榮司教授が担当したが、1934年から1956年まで七里義雄教授、ついで1972年まで山村豊教授、1974年から1985年まで木下仁志教授、1988年から2001年まで松浦虔士教授が歴代担当し、2002年より伊瀬敏史が担当教授となり、現在に至っている。

研究室の正式名称は大学院重点化による改組により「電気電子情報工学専攻 システム・制御工学講座 パワーエレクトロニクス領域」のように改められている。現在の研究室の陣容は、教授:伊瀬敏史、准教授:三浦友史、助教:柿ヶ野浩明、事務補佐員1名の教職員スタッフと、大学院博士課程7名をはじめとする学生29名の総勢32名である。

電力工学に関連して近年目覚しく発展した技術がパワーエレクトロニクスである。地球環境問題から太陽光・風力などの自然エネルギー発電やガスエンジン・マイクロガスタービンなどのコージェネレーション機能を有する分散形電源、および新型二次電池などの電力貯蔵技術が電力システムの中で使用され始めており、これらには、系統との連系のためにインバータが不可欠である。また、電力自由化の流れの中で需要家の視点に立った新しい電力供給システムの構築や基幹電力系統においては電力潮流の自由な制御のために、電力品質や潮流を制御できる技術としてパワーエレクトロニクスがこれからの電力システムの中では極めて重要である。

また、一方では国家プロジェクトで鋭意進められている超伝導の電力応用の視点も省エネルギーや上記の地球環境問題および電力自由化の流れの中で忘れてはならない。大阪大学では1980年に設置された工学部付属超電導工学実験センター(現、レーザーエネルギー学研究センター)で故村上吉繁名誉教授を中心に小生もともに研究を推進してきた超伝導電力貯蔵の研究の歴史がありこれに関しても実用化に至る研究を進めなければならない。本研究室ではこれらの要求に沿うために次のような課題に関する研究に挑戦し、関連する学問分野の教育を行っている。

  1. 分散形電源を含む新しい電気エネルギー流通システムの研究
    • Flexble Reliable Electrical eNergy Delivery System: FRIENDS
    • 品質別電力供給システム
    • 直流ループ型配電システム
    • 電力融通型太陽光発電システム
    • 需要地系統など
  2. 瞬時電圧低下対策装置の研究
  3. 分散形電源・電力貯蔵装置用電力変換器の回路および制御方式の研究
  4. 大型加速器のための電源の制御に関する研究

以上に紹介したように研究テーマは多岐に亘るが、新しい技術がもたらす次世代の電力技術への波及効果の測り知れぬ大きさを夢見つつ本研究グループは歩み続けている。

教授 伊瀬敏史